灰谷健次郎。
昔読んだ天の瞳シリーズはほとんど憶えてないけど面白かった記憶がある。

この本は子どもが主人公のお話を集めた短編集。
昭和60年が初版って、四半世紀前か。

どの話も起承転結がしっかりしている感じ。特に転がしっかり。
むしろ起承転で結はスッと消え入る感じ。
著者のスタイルだろうか、もしかしたら当時の流行りか。それとも小説の常識か。

著者の考えがにじみ出ている気がして、且つ自分の印象に残った部分を引用。
担当していた子どもが登校拒否になった家庭教師が主人公の女の子に相談していて主人公の女の子が持論を展開しているときのセリフ
「野生の動物の親子がいるでしょう。うんと小さいときは親からお乳をもらうけど、後は親も子も平等に生きてるでしょう。親も子も同じ生活をしている。親が子の生活を横取りしたりなんかしないから、子どもははやく自立する。人間と野生の動物は違うからまったく同じというわけにはいかないけれど、人間の親子はそこんとこがさっぱり駄目なのね。しあわせになってもらいたいからと親はすぐいうけれど、それは親の価値観を押しつけているだけじゃない。ほんとうは子どもの生活を横取りしているのよ」
やたらと分かりやすい例えでグッと引き込まれた。やるじゃねえかこの子。
全編とおして、子どもの設定が若干重いけど(長期入院中とか片親とかばっかり)、その分深いこと言っても自然な感じ。うん、なんか深いこと考えた気になった。

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