【本】記憶はウソをつく
2011年2月13日 読書図書館。
凄い面白かった。
まえがきからグッと来た。
本書は記憶の怪しさを科学的に解明することを目的としている。
なんかカッコイイ。しかも興味深い。
この本は、冤罪事件という身近なテーマを取り上げて、目撃証言( = 人の記憶)を全面的に信用することがいかに危ういことかを指摘している。その説明には、多くの実験結果が用いられていて、説得力バツグン。
序章
アメリカで誤審に影響した要因を検討した研究がある。それによると、圧倒的に多かったのが目撃者の誤った識別によるもので、全体の五割が目撃者の誤認によってもたらされた冤罪だった。
(中略)冤罪事件で記憶の問題がより鮮明に見られるのは、被害記憶の捏造である。
第1章 偽の記憶は簡単に植えつけられる
ここでは、アメリカの心理療法による偽の虐待記憶の想起を例にとって説明が進む。
実際に虐待は行われていないのに、心理療法の「あなたは無意識のうちに虐待の記憶を封じ込めていたのです」という言葉で被害記憶を作り出し、自分の親を訴えるという事例。
(上のアメリカの事例があるけど、)本当に記憶の植えつけなんて起きるのだろうか。そこで行われたのが、偽の記憶植えつけ実験。
ショッピングモール実験とかいう名前。
Aくんに記憶植え付けを試す場合。
・Aくんの家族は、Aくんが幼いころのエピソードを3つほど100文字程度で書きだす。
・仕掛け人は、Aくんが幼いころによく行っていたショッピングモールをAくんの家族から聞き出す。そこでAくんが迷子になったことがないことも確認する。
・仕掛け人は、Aくんがショッピングモールで迷子になったエピソードを100文字程度で書く。
・仕掛け人は、Aくんに4つのエピソードを紹介する。それぞれのエピソードについて何か思い出すことを語ってもらう。この面接は、何回か行われて、そのたびに思い出したことを語ってもらう。
・Aくんがショッピングモールでの迷子について語りだしたら、記憶の植え付けに成功したといえる。
結果は、25-30パーセントの人に偽の記憶の植えつけが成功したらしい。
実際に経験していない迷子について、したり顔で語り出すとか恐ろしいもんだ。
第2章 記憶は無意識のうちに書き換えられてしまう。
記憶のゆらぎに関わる二つの法則
法則の一つは、記憶には今自分が置かれている状況に合わせて書き換えられる修正があるというものである。
もう一つの法則は、想像しイメージしたことが、時を経るにつれて現実に経験した出来事の記憶の中に紛れ込んでいくというものである。
最初の法則の調査結果がすさまじい。
四年の間隔をおいて同じ人々を対象に実施された二回の政治意識調査結果を比較して、支持政党が変わった人たちを抽出した。その人たちに、四年前と支持政党が変わったかどうかを尋ねたところ、なんとそのうちの九割もの人たちが、
「自分は支持政党を変えていない」
と答えたのだ。
この人達は、「自分はぶれていない」「自分は一貫している」「自分は信念を持っている」という思い込みがある。だから、支持政党を変えたのに変えていないと思い込んでいる、というのが著者の指摘。
後は、自分が意識して行動しているかという話。
「自分を動かしているのは、紛れもなくこの自分だ」という思いを前提として、僕たちは日々を過している。ところが、自分の行った言葉やとった行動の意味を 問われても、どうにもわからないということが、ときどきあるのも事実だ。(中略)無意識のようによく分からない心理過程を持ち出されると、だれでも無批判に受け入れてしまいがちだ。
で、「無意識のうちにやったんだろう」とか、「あなたは〇〇を××することで犯行におよんだのではないですか」とか、実際に知らない犯行手順をほのめかされて、どんどんと記憶を作りこまれる。
第3章以降も興味深い実験結果だったけど、書くのが面倒なので適当に。
・ユングの性格類型
・コピー理論とエビングハウス
コピー理論は、人の記憶が写真やビデオのようにコピーを保存しているという考え方。エビングハウス以前の考え方。記憶の再構成理論が出てくる。
・ソースモニタリング
人は、意外とソースモニタリングが苦手。つまり、情報源を覚えていない。
だから尋問の際にほのめかされて、自白してしまう。
・スリーパー効果
情報源の信憑性が高いほど説得されやすい。ただし、ソースモニタリングの関係で、4週間経過すると信ぴょう性の高さに関係なく説得されやすさは一定となる(情報源を覚えていない)。信憑性高い情報源の場合、4週間経過すると説得されやすさは下がり、逆に信憑性低い情報源の場合、上がった。
第4章
子どもと高齢者の証言はあてにならない。
園児の証言が変わった事例。園児二人が死んだ事件で、事件の3年後に当日の様子を語り出す園児。取り調べやニュースによって犯人を推測し、その犯人がやったという目撃情報を創りだした可能性がある。集団で情報交換したため、事細かに作りこまれている。
事情聴取をする側の予想や期待に誘導されて、目撃証言がその予想や期待に応えるかたちで変容して言ったのである。
・リスキーシフト
集団のほうが、冒険的な決定の罠にはまりやすい
長い。しかもほぼ引用とは。
きっとそれだけ興味深いってことなんだろう。
凄い面白かった。
まえがきからグッと来た。
本書は記憶の怪しさを科学的に解明することを目的としている。
なんかカッコイイ。しかも興味深い。
この本は、冤罪事件という身近なテーマを取り上げて、目撃証言( = 人の記憶)を全面的に信用することがいかに危ういことかを指摘している。その説明には、多くの実験結果が用いられていて、説得力バツグン。
序章
アメリカで誤審に影響した要因を検討した研究がある。それによると、圧倒的に多かったのが目撃者の誤った識別によるもので、全体の五割が目撃者の誤認によってもたらされた冤罪だった。
(中略)冤罪事件で記憶の問題がより鮮明に見られるのは、被害記憶の捏造である。
第1章 偽の記憶は簡単に植えつけられる
ここでは、アメリカの心理療法による偽の虐待記憶の想起を例にとって説明が進む。
実際に虐待は行われていないのに、心理療法の「あなたは無意識のうちに虐待の記憶を封じ込めていたのです」という言葉で被害記憶を作り出し、自分の親を訴えるという事例。
(上のアメリカの事例があるけど、)本当に記憶の植えつけなんて起きるのだろうか。そこで行われたのが、偽の記憶植えつけ実験。
ショッピングモール実験とかいう名前。
Aくんに記憶植え付けを試す場合。
・Aくんの家族は、Aくんが幼いころのエピソードを3つほど100文字程度で書きだす。
・仕掛け人は、Aくんが幼いころによく行っていたショッピングモールをAくんの家族から聞き出す。そこでAくんが迷子になったことがないことも確認する。
・仕掛け人は、Aくんがショッピングモールで迷子になったエピソードを100文字程度で書く。
・仕掛け人は、Aくんに4つのエピソードを紹介する。それぞれのエピソードについて何か思い出すことを語ってもらう。この面接は、何回か行われて、そのたびに思い出したことを語ってもらう。
・Aくんがショッピングモールでの迷子について語りだしたら、記憶の植え付けに成功したといえる。
結果は、25-30パーセントの人に偽の記憶の植えつけが成功したらしい。
実際に経験していない迷子について、したり顔で語り出すとか恐ろしいもんだ。
第2章 記憶は無意識のうちに書き換えられてしまう。
記憶のゆらぎに関わる二つの法則
法則の一つは、記憶には今自分が置かれている状況に合わせて書き換えられる修正があるというものである。
もう一つの法則は、想像しイメージしたことが、時を経るにつれて現実に経験した出来事の記憶の中に紛れ込んでいくというものである。
最初の法則の調査結果がすさまじい。
四年の間隔をおいて同じ人々を対象に実施された二回の政治意識調査結果を比較して、支持政党が変わった人たちを抽出した。その人たちに、四年前と支持政党が変わったかどうかを尋ねたところ、なんとそのうちの九割もの人たちが、
「自分は支持政党を変えていない」
と答えたのだ。
この人達は、「自分はぶれていない」「自分は一貫している」「自分は信念を持っている」という思い込みがある。だから、支持政党を変えたのに変えていないと思い込んでいる、というのが著者の指摘。
後は、自分が意識して行動しているかという話。
「自分を動かしているのは、紛れもなくこの自分だ」という思いを前提として、僕たちは日々を過している。ところが、自分の行った言葉やとった行動の意味を 問われても、どうにもわからないということが、ときどきあるのも事実だ。(中略)無意識のようによく分からない心理過程を持ち出されると、だれでも無批判に受け入れてしまいがちだ。
で、「無意識のうちにやったんだろう」とか、「あなたは〇〇を××することで犯行におよんだのではないですか」とか、実際に知らない犯行手順をほのめかされて、どんどんと記憶を作りこまれる。
第3章以降も興味深い実験結果だったけど、書くのが面倒なので適当に。
・ユングの性格類型
・コピー理論とエビングハウス
コピー理論は、人の記憶が写真やビデオのようにコピーを保存しているという考え方。エビングハウス以前の考え方。記憶の再構成理論が出てくる。
・ソースモニタリング
人は、意外とソースモニタリングが苦手。つまり、情報源を覚えていない。
だから尋問の際にほのめかされて、自白してしまう。
・スリーパー効果
情報源の信憑性が高いほど説得されやすい。ただし、ソースモニタリングの関係で、4週間経過すると信ぴょう性の高さに関係なく説得されやすさは一定となる(情報源を覚えていない)。信憑性高い情報源の場合、4週間経過すると説得されやすさは下がり、逆に信憑性低い情報源の場合、上がった。
第4章
子どもと高齢者の証言はあてにならない。
園児の証言が変わった事例。園児二人が死んだ事件で、事件の3年後に当日の様子を語り出す園児。取り調べやニュースによって犯人を推測し、その犯人がやったという目撃情報を創りだした可能性がある。集団で情報交換したため、事細かに作りこまれている。
事情聴取をする側の予想や期待に誘導されて、目撃証言がその予想や期待に応えるかたちで変容して言ったのである。
・リスキーシフト
集団のほうが、冒険的な決定の罠にはまりやすい
長い。しかもほぼ引用とは。
きっとそれだけ興味深いってことなんだろう。
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